super“my co” の大冒険 vol.7



 
サッビーの事務所は、メイフェアの中のなかなかお洒落な場所にあった。インテリアデザインもシックなグリーンを基調にまとまって

いて、部屋に飾ってある絵画もモディリアニ調の落ち着いたものが飾られ、趣味がいい。働く場所としては快適そう。部屋の中には

数名の男性がいて、電話がワンワン鳴っている。見たことのないデータベースがいくつも置いてある。後で聞いた話しだけど、ブル

ンバーグとか、ロイターという情報サービスシステムらしい。みんな真剣な顔をして、お金だけを求めて働くハンター達みたい。



 サッビーは、私を、彼の上司のチ−ム・ヘッドに紹介した。チームヘッドは40歳くらいの人で、忙しそう。サッビーの話によると、彼

の上司は、いくつかの場所に隠れ家をもっていて、隠れ場所を動き回っているらしい。風来坊のようなところもあるらしく、私は、彼の

上司を「風」と命名した。風の前で、私は少し緊張した。サッビーに拾われて連れてこられた子猫が飼い主になるかもしれない人の

前に出されたような感じ。風と私の会話が始まった。面接みたい。



「何故、ロンドンに出てきたのですか」

「インテリアデザインを勉強に来ました」

「他にアルバイトは見つかったのですか」

「日系大手のロンドン事務所でアルバイトをしています」

「それなら、投資銀行関係の働き先を見つけることはないでしょう」


ここで「はい」と応えたら敵の術策にはまる。子猫は、一瞬、困ったふりをして、小首をかしげ、大きく目を見開く作戦に出た。そして、

英国人の舞台女優を目指す女性の話をたどたどしく説明した。意図的に頼りない声を出したわけではない。資本市場の知識がほと

んどない私は、なかなか専門用語を覚えられず、自分で何をしゃべっているのか、頭の中が混乱していただけ。横で、少し意地悪な

サッビーは、「また、同じような手を使ってるぜ」という顔をしていた。「違うわよ、判らないだけよ」と思ったけれど、「この復讐はどこ

かでしてやる」と思い直し、最後まで説明した。風は言った。




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