super "my co" の大冒険 vol.9
99年、ロンドンの冬、私の新しい生活が始まった。スイスコテージの公団住宅で早起き、グリーンパークの日系企業の事務所に行って、早朝の電話番とコピー取り等の雑務をこなして、その後、学校への移動途中に、メイフェアの小さな投資銀行チームに顔を出す。そして誰も見ていないときに、キャンキャンをそっとランチに持ち出す。場所はバークレースクエア。
でも、だんだん、キャンキャン以外の情報にも興味を感じてきた。資本市場とか、投資とか、かなり知的なゲームで、このゲームに勝つとスーパーリッチになれるのもわかった。風もサッビーも西海岸か南フランスで引退するのを目標に働いているみたいだ。気づいた情報は頭の中で整理して、説明した。忙しいときは無視されて、さすがに「ムッと」したけれど、暇なときは、案外、まじめに聞いてくれたり、質問してくれる。特に私の得意分野、化粧品とかアパレルは、自分ながら、「鋭い分析」と思ったりする。そうするうちに、少しずつ、私は、風とサッビーを中心とするチームの一員のような存在になった。「yokoも、これで、ロンドン投資銀行ウーマンね」ともうワーキングウーマン気取り。
私に指示をするのはサッビー。最初はなかなか性格が把握できなかったけれど、案外いい奴じゃんと感じ始めた。サッビーは、父親の都合で、思春期をロンドンで過ごした後、東京にもいたことがあるらしい。今、働いているのはロンドンだけれど、日本のことをよく知っている。仕事をしているときの彼はかなり厳しい顔つきで、優秀なのかもしれない。熱中するタイプだ。そう思うと、ファイナンシャルタイムズで、アールグレーを台無しにしたのも許そうかと思うけど、気を許すと意地悪をするかもしれないので、「格上げ」の正式決定はしばらく様子を見てからにした。風は相変わらず席にいるのは少なく、海外出張も多いようで、時々、ロンドンに身体を休めに帰ってくる感じだった。時々、風とサッビーは私を契約どおり、豪華なディナーに誘ってくれた。
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